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太陽光発電は暑さに弱い

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太陽光発電は、日差しが強烈で日照時間が長ければ、一番発電量が増えそうにみえますが、実はそう単純ではないのです。
なぜなら、太陽光発電は暑さに弱いからです。

日照時間だけを考慮するなら、九州や沖縄など、南の地方が有利に思えるのですが、暑さに弱い太陽光発電は、かならずしも南国が有利ではないのです。
実際、東北や北海道でも予想以上に発電量は稼げています。

太陽光パネルは、カタログ上は、ある一定の基準状態で計測した発電量を公称最大出力としています。その基準状態は、以下のようになります。

1.太陽光パネルの表面温度は25度。

2.エアマスは1.5。
エアマスとは、太陽光がパネルに届くまでに通過した空気の量を表します。
垂直に入射した場合をエアマス1.0としていますが、日本は北緯35度付近に位置し、
太陽光の入射角は斜めですから、より厚い空気の層を通過してくるわけです。

3.光の強さは、1000W/m2。

◆カタログ値を測定するときのパネル表面温度は25度

表面温度25度とは、日本では春や秋の条件に相当する温度です。これが夏場なら70度以上になってしまうのです。
夏場の真昼で、太陽が燦々と輝いていれば、最大効率で発電しているように思いがちですが、実際はそうではないということなのです。
夏場、発電効率は暑さのために低下しています。
その低下率は、結晶シリコン製のパネルの場合には、表面温度1度の上昇で、0.4〜0.5%の低下です。
表面温度が70度になれば、(70-25)×0.4=18%も低下することになるのです。

この低下率(=温度依存性)は、陽光パネルの材質によっても違います。
上記の計算は、シリコン系のパネルの場合です。化合物系や有機系のパネルであれば、温度の影響は比較的少なくなります。
ですから、温度が高くなる地方で設置を考える場合には、シリコン系よりも、化合物系(CIS太陽電池)や、ハイブリッド型を選ぶといいでしょう。

◆発電量は、温度、日照時間、光の強さなど 複数の要因で決まります

実際の発電量のデータでは、中部地方から甲信越地方が、優れた実績を持っています。山梨県、群馬県、静岡県、長野県などがそれに当たります。
つまり、日照時間は長く、しかも年間平均温度は低い。そういった地方で、最もいい成績を上げている訳です。

長野県の年間発電量が多い原因は、夏の気温の低さだと考えられます。
長野県の年間平均気温は、摂氏12度ほどです。(なお、北海道は年間平均気温摂氏9度で、当然日本一寒いです。)

とはいえ、発電量に対して、一番大きな影響力を持つ要因は日照時間に違いはありません。その一方で、暑さという要因も無視できない、ということです。
季節で言えば、一番発電効率がいいのは真夏ではなく、5月。5月は日照時間もそれなりに長く、その割に気温がさほど上がらないためでしょう。

◆おすすめの暑さ対策は

発電効率を下げる、パネル表面温度の上昇ですが、よい対策はあるのでしょうか。
太陽光パネルを冷やすのは、コストが掛かり、経済的に割に合いません。
散水装置や冷却水、電気代が掛かるためです。

結局、一番の暑さ対策は、最初から温度変化に強い太陽光パネルを選ぶことです。
上記のように、シリコン系は暑さに弱く、暑さに強いハイブリッド型やCIS太陽電池であれば、高温時の出力低下は、シリコン型の50%程度で済みます。

また、別の対策として、太陽光パネルの表面温度上昇を抑えるためには、その設置場所を工夫することも考えられるでしょう。

さて、ここで、実現可能性のことは置いておいて、理論だけで考えるならば、最高の暑さ対策は、高地に太陽光パネルを設置することです。要するに、涼しい場所です。
富士山の頂上なら、きっと最高の条件でしょう。
富士山の平均気温は夏で6度、冬でマイナス18度位。
さらに、日照時間も年間1900時間ほど。そして一般的には冬の日照時間は夏に比べて短いのが普通ですが、富士山は冬の日照時間が長いのです。

これらの条件を総合して考えると、富士山山頂は、平地よりも格段に高い発電効率が得られるでしょう。

◆まとめ

太陽光発電が暑さに弱いことは意外に知られていないのではないでしょうか。
暑さに弱いのは、太陽光パネルの性質ですので、仕方ありません。
けれども、暑い地方では、ハイブリッド型やCIS型の太陽光パネルを選べば、弱点を解消できます。