太陽光発電で大切なパーツはと言うと、光を電気に変換する太陽光パネルが思い浮かぶと思います。
それと同じように、大切なパーツとして、パワーコンディショナーです。
パワーコンディショナーとは、どんな働きをする部品なのでしょうか。
名称を聞いただけでは、ちょっと分かりにくいですね。
パワーコンディショナーは、太陽光パネルで発電した直流電流を家庭で使える交流電流(50〜60サイクル)に変換する機器です。
太陽光パネルを電池と考えるとわかりやすいと思います。
「AC〜DCインバーター」とか、「直流交流変換器」と呼んだほうが、何の働きをする機器なのかが直感的に分かりやすいかもしれません。
ちなみに、海外ではPCインバーターと呼ばれています。
◆パワーコンディショナーの役割
パワーコンディショナーは、太陽光パネルで発電した直流電流を、安定的に交流電流に変換する機器です。
発電した電流と電圧を安定させることはもちろん、周波数(50サイクルもしくは60サイクル)も安定的にコントロールしてくれるのです。
◆機器の選び方と価格
パワーコンディショナーを選ぶポイントは、太陽光パネルと同じメーカーの製品を選ぶことです。
その点、一括見積もりで信頼できる業者を選択して任せれていば間違いはないでしょう。
製品ごとの性能の差は、日本のメーカーの製品同士では、それ程の差はないと考えていいでしょう。
機器の値段は、例えば5KW容量の発電システムならば、総額150万円。パワーコンディショナーの価格は、そのうちの約1割、約15万円というところです。
◆設置場所はどこがいいか
パワーコンディショナーはどこに設置するのが適切でしょうか。
パワーコンディショナーの機器としての特徴を考慮すれば、ふさわしい設置場所がおのずと決まってくるでしょう。
パワーコンディショナーは、太陽光発電システム機器の中で、唯一、音を出す機器です。例えるならば、エアコン室外機が音を出すようにパワーコンディショナーもモスキート音や機器の動作音がします。
ということで、単純に考えれば、屋外に設置するのがベストです。
しかし、住宅密集地などで、特に、小さなお子様や病人が近くに住んでいる場合など、機器の出す音が、御近所トラブルへと発展する恐れもあります。そのような場合は、屋内に設置するほうがよいでしょう。
騒音の感じ方は、個人差が大きく、いったんパワーコンディショナーの音が気になりだすと、それがストレスになってきます。
さまざま勘案すると、パワーコンディショナーの設置場所は、御近所の状況と家庭環境を総合して決めるのがよいといえるでしょう。
◆過積載という方法の有効性
一般的には、太陽光パネルの発電容量と、パワーコンディショナーの容量を一致させてシステムを構成するのが原則です。
しかし、ここで注意すべき点は、太陽光パネルの発電容量は条件がいい場合の最大値を表しており、実際には5KWの太陽光パネルで、常に5KWの発電が出来ると考えてはいけないということです。
日照量、光の質、気温その他の要因によって、発電量は4KWから3KW程度に落ちてしまいます。
住宅用太陽光発電システム施工品質向上委員会
こちらを参照すると、発電量の28%がロスがあるとあります。
その発電能力の低下分を、最初から織り込んでシステムを組むなら、5KWの太陽光パネルに対して、パワーコンディショナーは4KW程度で充分ということになるのです。
このように、パワーコンディショナーの容量よりも、太陽光パネルの発電容量を大きく設定する方法を、過積載と呼びます。
太陽光発電では、太陽光パネル容量とパワーコンディショナーの能力の、どちらか低い方が、そのシステムの発電容量だとみなします。たとえば太陽光パネル6kWに、5kWのパワーコンディショナーの組み合わせであれば、発電容量は5kWです。
いま、太陽光発電容量が1kWとすると、公称の発電能力では、一日の平均日照時間を10時間とするならば、一年間では10×365=3650時間、すなわち、3650kWhの電気を発電できることになります。
しかし、1kWの太陽光発電の発電量の実績値は、年間で1100kWhほどに過ぎません。
実際の発電能力になおすと、1100÷3650で、0.3kWh程度となり、公称値の、わずか30%程しか発電していないことがわかります。
ですので、太陽光パネルの発電容量と等しい能力のパワーコンディショナーを設置する必要はなく、パワーコンディショナーに対して、太陽光パネルが過積載になるように組み合わせれば、効率よく発電ができるのです。
パネルの能力に対して、コンディショナーの能力が、20%から50%程度の過積載が、実際に使われている能力比の範囲です。
◆パワーコンディショナーの寿命は短めです
パワーコンディショナーは、寿命が10年から15年と言われています。
これは、太陽光パネルの寿命25年から30年と比べると約半分の長さです。
したがって、途中で新品に交換するか、または部品を交換することを、あらかじめ計画に入れておく必要があります。